小児看護学研究室

小児看護学研究室紹介

学部では小児看護学を、大学院では、小児看護学と家族看護学を教えています。

1.小児看護学のめざすもの

 小児看護の目的は、健康な子ども、障がいのある子どもなど、様々な健康状態にあるすべての子どもに対して、それぞれ最も良い健康状態を保ち、最も良い成長・発達を遂げるように援助することです。そのためには、子どもに対する援助だけではなく、母親、父親を中心とした家族への援助、ひいては、地域、社会全体を巻き込んだアプローチが必要となります。

 小児看護学研究室では、子どもの健やかな成長・発達を促すようなアプローチに関する研究を様々な視点から行っています。

2.家族看護学のめざすもの

 家族看護とは、家族が発達段階に応じた発達課題を達成し、健康的なライフスタイルを獲得し、家族が直面している健康問題に対して、家族が主体的に対応し、問題解決し、対処し、適応していくように、家族が本来持っているセルフケア機能を高めることです。家族のセルフケア機能が何らかの理由で一時的に機能不全に陥り、援助ニーズが発生している場合に、家族のセルフケア機能の回復、維持、向上を目標に適切な援助を行います。

 小児看護学研究室では、家族のセルフケア機能の維持、向上を目的とした様々なアプローチに関する研究を行っています。

大学院前期課程の家族看護専攻教育課程では、家族支援専門看護師になるための、以下の5つの能力の修得を目標としています。

    1. 家族看護の対象である家族を系統的に捉え、専門的な知識に基づいて看護活動を展開することができる。
    2. 家族看護の領域に関して研究の企画推進者となることができる。
    3. 家族看護の領域に関わる多職種とのコーディネーターの役割が取れる。
    4. 家族看護の領域でコンサルテーションを行うことができる。
    5. 新しい援助技術を開発し、変革者となることができる。

2022年4月現在、全国の家族支援専門看護師(家族支援CNS)は、82名です。そのうち、本学の課程を修了した家族支援CNSは21名とその25%を占め、全国で活躍しています。所属先については、日本看護協会HPをご覧ください。


スタッフと研究内容

◎ 教授:服部 淳子[子どもの心理に対応したプレパレーションと評価]

研究サイト http://feeling.strikingly.com

研究内容:子どもの入院や治療の不安やストレスを軽減するために、様々な援助方法や内容について研究を行っています。子どもの不安やストレスの評価には、心理的・生理的指標を用いて、客観的に評価し、エビデンスに基づいた効果的なプレパレーション・ツールを開発しています。開発したツールは、Web上に公開し、多くの病院などで使用されています。

 

〇 准教授:汲田 明美

研究サイト https://www.ibdnursing.jp/

研究内容:小児慢性疾患患者の支援について研究を行っています。全身性エリテマトーデスの思春期患者の思いやその家族の思いを明らかにし、この数年は小児炎症性腸疾患患者の「生活力」を育むプログラムに関する研究を行っています。他の小児慢性疾患の患者さんも含めて、病気を持ちながら生きる、将来像を考える思春期、成人移行期に必要な看護について研究しています。

◇ 講師:清水いづみ

研究内容:父親の子育て支援について研究を行っています。NICUで看護師をしていた時、お父さんは何に困っていてどのようなサポートが必要なのだろうと考えたことがきっかけでした。小さく生まれた赤ちゃんのお父さん、初めての子育てをしているお父さんたちの育児ストレスの現状を明らかにして、社会全体で支えていくためのシステムづくりを目指しています。

□ 助教:足立 奈穂

研究内容:医療的ケア児と家族のセルフケア支援について研究を行っています。

 医療的ケア児と養育する家族は、日常的に医療的ケアや体調管理を要するからこそ日々セルフケアに取り組んでいると考えます。医療的ケア児と家族のセルフケアの特性について多くの人に理解してもらい、生きる力を引き出すとともに、その子と家族らしい生活が送れるような支援に向けて探求しています。

 


修士論文・課題論文テーマ

1)修士論文

  • 手術室看護師が実施する子どもへの周術期プレパレーションの開発
  • 手術室ペルー人母親の子どもの医療機関受診行動と困難
  • 小児がん経験者が小児医療から成人医療へ移行する過程における体験
  • 入院初期の子どもに対するバイタルサイン測定時のプレパレーション効果に関する検討-客観的な指標を用いた評価-
  • 低出生体重児の母親に対して保育器が及ぼす影響
  • 短期入院児に付き添う母親の生活行動の実態と医療スタッフへの役割期待
  • 小児がん化学療法中の食事制限の実際と摂取可能な食品の検討-子どもの食のQOL改善のために-

2)課題論文

  • NICUを退院する医療的ケアをもつ先天性心疾患患児の家族における意思決定プロセス
  • 初発乳がん患者が病気や治療について子どもと共有していくプロセス
  • 地域医療支援病院の外来看護師が行う高齢慢性心不全患者と家族を支える在宅療養支援
  • NICUにおける家族アセスメントの実態
  • 救命救急センター初療室における家族アセスメントツールの作成
  • 乳幼児期に先天異常の子どもを亡くした母親が父親の言動により受けた影響
  • 気道狭窄のため乳児期に気管切開をした子どもに対する母親の体験と思い
  • NICUに入院している医療的ケアを必要とする子どもの在宅療養への移行の支援-看護師が用いる家族のアセスメント項目と支援-
  • 中高年女性が入院することによっていだく役割葛藤とその関連要因
  • NICUを退院した子どもの母親の夫婦間コミュニケーション
  • 病棟看護管理者における入院患者の家族に対するケア提供の実態及びその関連要因の検討
  • 小児看護師の家族とのパートナーシップの実態と関連要因
  • 仕事をもつ母親の子どもの急病時における認知的評価-母親の多重役割との関連から
  • 小児がんの子どものきょうだい支援について-思春期にあるきょうだいの体験から-

地域支援

 小児看護学研究室では、名古屋市守山保育園と保育の質向上事業にかかる協定書を締結し、守山区内の保育の質向上事業に協力しています。主な事業として、育児支援センターでの育児相談や子育て学習会を行っています。

 

〒463-8502名古屋市守山区上志段味東谷 愛知県立大学看護学部 愛知県立大学大学院看護学研究科
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